北欧式、ヨーロッパ方式、高燃焼効率暖炉、クッキング薪ストーブ、ペチカ(蓄熱壁)ピザ釜、パン焼オーブン等関連設備設計施工    
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蓄熱型暖炉フィンランドモデル製作過程

北欧式暖炉、関連設備設計施工
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北欧等で普及している蓄熱式暖炉をもっと詳しく

暖炉やストーブは基本的に暖を取るための暖房設備ですが、何を重視するか等で少し内容は変わります、そこでそれらも含め改めて見てみます。

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なぜヨーロッパで蓄熱型の暖炉が生まれ広く使われるに至ったのか?

ヨーロッパはメキシコ暖流のお陰で北緯が高い割に冬も温暖な地域ですが、それでもやはり冬は寒く北に行けば行くほど当然寒さは厳しくなりますし、又海岸付近より内陸部のほうがより厳しい傾向があるように思います。

冬に必須の暖房ですがヨーロッパ独自の環境、暮らしや文化等が独自の暖炉等の暖房設備を発展させてきました。

パトリックミッチェル著作の文献によれば現存する記録は少ないものの西洋における暖炉設計の歴史の起源はローマ人によるものらしく、ローマ帝国による領土の北方拡大でそれらの土地でローマ人は当然冬に暖を取る効果的な手段が必用になり3世紀後半までにはセントラルヒーティングシステムを完成させていたとされます、その時の暖炉設備は科学技術が現代より乏しかったにもかかわらず今の蓄熱型暖炉に近いシステムだったと推測されています。

そんな発展した暖房技術も北ヨーロッパからローマ人が引き上げた事にによって急速に廃れ、技術は継承されず再びそのレベルに到達するのは約1000年後の14世紀頃だっただろうと考えられています、その後様々な独自の発展等を経て今に至ります。

地域によって暖炉の構造などの発展に違いがあるのは気候の違いや、生活スタイルの違いから来る求められる機能の差などによる所が大きいと考えられますが、家屋の断熱性能が向上した現代では冬が厳しい北欧地域等でも様々なタイプの暖炉やストーブが使われるようになってきていて、性能面はもちろん、よりインテリアとの相性、デザイン性等も重要視されてきていると言えます。

そこで、現在北欧やヨーロッパで一般的に普及している木質系燃料を利用する暖炉、ストーブについてもう少し詳しく見ていきます。

北欧&ヨーロッパの国旗

北欧やヨーロッパで普及している暖炉、ストーブのタイプ

まず暖炉やストーブを利用する場合で暖房機能に注目した場合のコンセプトの違いとして、火を焚きつけた後直ぐに暖をとりたいのか、或いは焚きつけた後に温まるまで多少時間は掛かかるけれど低燃費で消化後も暖かさが続く方が良いのか、で分かれると思います。前者は壁付暖炉、前者に近い中間的なものが鋳物製の薪ストーブ、蓄熱式の暖炉は後者、或いは後者に近い中間的なものになると思います。(単純に分けられないタイプも当然あります)

直に燃えている炎の熱(輻射熱)を受け取るいわゆる伝統的な暖炉、日本で言う壁付き暖炉は焚き付け後どちらかと言えば比較的短時間で熱を感じられ適切な対流が起きる事により部屋の暖房にも寄与します、但し蓄熱率はどちらかと言えば低い為(サイズ等により違う)火を消し熱源が無くなると熱は比較的早く奪われて行きます、又壁付暖炉は燃焼に必用な量以上に吸気する為(換気量が大きい)燃焼の割りに部屋が暖まりにくい傾向があります。

鋳物製の薪ストーブはドアが取り付けられたものが多く、その場合は壁付暖炉より炎からの熱は感じにくく、本体が熱を発するまで時間は多少掛かるものの鋳物製の本体は蓄熱性もある程度あり壁付暖炉より効率的なものが多いと言えます、サイズが比較的コンパクトで施工がそれ程難しくないので導入のハードルは低いかもしれません、又は多少施工は複雑になる見た目は壁付き暖炉とそれ程変わらない多少大き目の鋳物の炉を使ったビルドインタイプの暖炉も薪ストーブの一種になると思います。

只吸気の経路が不適切だと冷たい空気が部屋に入り込むので対流が起こりにくくなりその分部屋は暖まりにくくなり効率は下がります。単に薪を燃やして熱を得るという単純なものでも様々な要素があるのですが、簡単に言うと、燃料を燃やした熱を直に受け取るか、何かに吸収させて間接的に受け取るか、どちらの割合が大きいかの違いで、火は熱いですが消えればそれで終わりです、でも火の熱をどこかに溜められれば消した後も熱を感じられるという事になります。

伝統的な壁付暖炉と蓄熱型暖炉でどんな違いがあるのかは外見だけでは区別が付きにくい場合もあります。又映画等で見る機会がある伝統的な暖炉(壁付き暖炉)は蓄熱しないのか?というと、もちろん薪等が燃焼した熱の一部は本体等に蓄熱します。

伝統式暖炉のオープンファイアー型暖炉 ただ一般的に映画やドラマのシーン等でイメージする開口部が大きく火が直に燃えている伝統的なオープンタイプの壁付き暖炉の基本的な構造は、薪等を燃やす炉(火箱)とその上のチャンバー部に繋がれた煙道がドラフト(上昇気流)を生み出し排気する構造の為空気の流入が比較的大きく、又燃焼した熱は煙道、煙突内のドラフトとして利用され外気へ排出されるので結果として蓄熱される量は少なくなります。

おとぎ話ですがサンタクロースが入ってくる事になっているのはこの伝統的な煙突と暖炉に一応なります、、それもスロートが無く相当大きな旧式タイプになりますが、、、。

構造や材料等の違いにより一概に言えませんが英語でいうOpen fireplace と呼ぶタイプがこの伝統的な壁付き暖炉で、暖房装置としての機能に加え、部屋の換気装置としての機能を持っている暖炉と言え、見た目は北欧式の蓄熱暖炉に似ている部分はあっても機能的にはかなり違います。

直に火が燃えている暖炉はそれ自体が大きな魅力であり炎自体の暖かさを感じられます、又炉が閉じられていないタイプは薪がパチパチとはぜる音が直に聞こえます、部屋の装飾品等と一体となった壁付き暖炉は家の中心に相応しい存在感です、ただ薪の使用量を抑えたい、暖房効率を上げたい等の場合はこのタイプの壁付き暖炉(Open fireplace)はやや不向きといえます。

オープンタイプの壁付き暖炉(Open fireplace)は伝統的に長年使われてきている為親しみ易く、西洋建築の中心的なものですが暖房装置としては効率が悪く、生活スタイルの変化等より効率がよいものへの改良が必要でした。

薪ストーブタイプの暖炉の良い点はそのサイズのコンパクトさと設置の容易さでしょう、機能や仕様、デザイン等コンセプトは各メーカー毎に実に様々で価格も安価なものもあり導入が比較的容易です。重量も比較的軽く相当大きなもので無い限り特殊な床、基礎工事等は必要としません。薪ストーブ、ビルドインタイプの暖炉はオープンタイプの壁付き暖炉と違いドアを閉じて空気流入量を抑えているので燃費もオープンタイプの壁付き暖炉と比べ比較的良いものが多く、炉や本体が鋳物やスチール製の為焚き付け後比較的早く温まります。

比較的コンパクトなサイズの一般的な薪ストーブ その為燃焼中に直に本体等に触るのは危険なものもありますが、そうであれば熱伝導率が高いので焚き付け後比較的早く暖をとる事が可能です、火を焚いている間は輻射熱や空気の対流等で部屋が暖められます、部屋が冷えている場合等比較的短時間に部屋を暖めたい場合は薪ストーブ等鋳物製のストーブのタイプが向いていると言えます(部屋のサイズや構造により異なります)、ただ火を絶やすとどうしても本体の大きさに比例して小さいタイプのものは比較的早く熱が奪われ熱源がさめてしまう点がやや弱点と言えますし、種類にもよりますが炉のサイズが小さいものが多く継続して燃焼させる場合は常に燃料を追加しないといけない点も難点でしょう。種類は様々な為一概には言えませんがどちらかと言えば比較的小さめの部屋に適していて価格的には低価格帯のものから高価なものまでバラエティーがあり、機能面やデザインの種類も豊富で扱う店舗等も増えているので導入し易いタイプの暖房設備でしょう。

一方、蓄熱型暖炉は内容等を簡単に要約して前ページで説明しましたが、当方で施工している中心的なタイプなので少し長めに説明しようと思います。


燃費が良く火を消しても暖炉の暖かさが長く持続する理由

北欧や欧州等で普及している蓄熱式の暖炉の一つが北欧式の蓄熱暖炉ですが、何が伝統的暖炉の壁付き暖炉等と違うのかと言えば燃焼中は炉を閉じて吸気量を抑制し、且炉等の形状、煙道の形状や経路等を工夫し燃焼効率を高め、消火後も長時間暖かさを持続させている所です。

一方で本体の形状、仕上げ等デザインの自由度があるので様々なインテリアと合わせる事が出来き、本体を複数の部屋にまたがる様に設置すればそれぞれの部屋を一つの暖炉で同時に暖める事が出来る等経済性と実用性を兼ねたタイプの暖炉という事で、現在も学校や公共施設、一般家庭等で広く使われています。

前ページに要約をまとめましたが、北欧式蓄熱暖炉(Masonry heater)の大きな特徴を改めて説明すると、暖炉本体の燃焼室の炉、チャンバー(チャンネル)、煙道又は壁等として作られた煉瓦、石等の材料に薪等の燃料を燃やした時に出る燃焼ガスを効率的に燃焼させて蓄熱し燃焼温度を上昇させる好循環を作りその輻射熱を有効利用します。結果として一般的な蓄熱暖炉のタイプで平均熱効率約80%程度の高燃焼効率を実現しています

暖炉やストーブを設置する目的、理由は人、地域等により様々ですが北欧や欧州等で普及している北欧式蓄熱暖炉は熱を逃がさない工夫を沢山してあるのでその意味では実用面を重視している人々、組織等に利用されている暖房設備になります。

この方式の暖炉(又はストーブ)の仕組みは、実はロシアを通じて同じ原理のものが日本にも伝わっていて名称は童謡にもなっているロシア語のペチカです。

ロシアのペチカは暖炉そのものですが日本におけるペチカは暖炉そのものではなく焚き口に特定の炉を含まない(選択できる)暖房設備を指している場合が多いようです、北欧式蓄熱暖炉とペチカは似た特徴を持ち合わせていますが、それぞれの地域で構造やデザインなどに多少違いがあります。

現在当方で設計施工している幾つかある蓄熱型の暖炉の基本的な構造は北欧式のものを採用しているので、このサイトでは既にこの名称を使用していますが区別する為にその特定のタイプの蓄熱型暖炉を「北欧式蓄熱暖炉」と呼んでいます、ただ原理的には北欧式蓄熱暖炉も他の蓄熱型暖炉も英語のMasonry heater (ceramic stove, tile stove含)もロシア語のペチカも共通する所がある為それぞれの立場から見ればそれぞれ呼び名が変わる場合があるという事になります。

又当方で設計施工する「北欧式蓄熱暖炉」でも「フィンランド式蓄熱暖炉」、「エストニア式蓄熱暖炉」、更には料理専用タイプの暖炉、「クッキング薪ストーブ」、又クッキング薪ストーブとペチカをあわせた複合モデル等があるのでそれらの種類や特徴等はこちらの「施工暖炉の種類と特徴」で解説しています。

蓄熱式北欧暖炉の図北欧式蓄熱暖炉の基本的な構造は薪をくべて燃やす燃焼室の炉にドアを取り付けて閉じられるようになっています、その為オープンファイアタイプの壁付暖炉に比べ吸気量はかなり抑えられています。ドアの種類によりかなりしっかり閉じて略密閉する様なタイプからドアは閉じても若干の隙間があるタイプもあります。空気の取り入れ方は専用の吸気口を設けてあったり、ドアが二重になっていてスクリーン状の内ドアだけを閉めて吸気するタイプ等色々あります、いずれにしろドアがある事が特徴の一つです。

もう一つの特徴は耐火煉瓦等の耐火構造物によって燃焼室の炉、独特の煙道等が作られ燃焼を続ける事でそれらに熱が蓄熱され効率よく可燃性ガスを燃焼させます。又暖炉本体、煙道等が蓄熱材となっているので燃費が良く薪等の燃料の消火後も規模等により6~30時間程度部屋を暖めるのに十分な熱を放出し続けそれ以降もほのかな暖かさが続くので連続して薪を燃焼させる必要が無く経済的です、又複数の部屋にまたがって設置する事でより効率的に暖房する事も可能です。

更なる特徴は燃焼温度が高く効率が良いので不完全燃焼による煤やクレオソートの生成が少なく排気もきれいで、その為メンテナンスの頻度が低く又容易という点です。燃焼状態、使用頻度、本体や煙突の構造等にもよりますが、一般的なタイプの北欧式蓄熱暖炉でシーズン中略連日使っていても状態の良い薪を使用していれば1~2年に一度程度の掃除で殆ど問題ないといえます。(具体的な状態は本体にある点検窓等で要確認)又薪の種類を選ばないのでその面でも実用的です。

最後の特徴は基本的な構造が比較的シンプルであり、又施工時に使用する部材等は丈夫なものが多く長持ちする為維持費が殆ど掛からない事もメリットと言えますし又仮に何かしら問題が発生したとしても大体のものが修理可能という面もメリットの一つでしょう。正しく使い耐久性の高い材料等できちんと施工された暖炉であれば主要構造物は40~50年程度持つのは普通で、100年以上経った暖炉でも正しくメンテナンスされているものは普通に使用されています。

もちろん熱を受ける炉や煙道部分等は長年使うことでほんの少しづつ痛んできますが修理する事を前提に作ってあるものが殆どなので大規模修繕になったとしても外側の本体は前面のみ取り崩し痛んだ炉内や煙道のみを組みなおすという修理が可能で、痛みの少ないものは再利用するのでその分修繕費も安く済みます、又オリジナルを重視する場合等は本体外観の材料は再利用を前提に解体して修繕します。

その為とても古そうに見える博物館にある様な年代物の暖炉でも痛んだ中身を新しく修繕されていれば新品のものと機能的には大差なく使う事が可能です。

燃焼効率も良く、経済性も良く、メリットが多い蓄熱型の「北欧式蓄熱暖炉」ですがデメリットと言える部分が無い訳ではありません。一番大きなデメリットと思える部分は恐らく構造物として比較的大きい為その分全体が温まるまで時間が掛かります、焚き付け直後は炉の前面は暖かくても暖炉本体が完全に冷え切った状態から本体が放熱し始めるまで一般的なサイズの「北欧式蓄熱暖炉」では焚きつけてから1時間~2時間程度は掛かるでしょう、本体等の厚み、材質等にもよりますが内部構造が単層ではない場合は更に1時間程度は掛かると思われます、その為火を焚いて直ぐに部屋全体を暖めたい場合等に向いていません。

又基本的に煉瓦、自然石等の石、耐火レンガ或いは耐火モルタル等による耐火構造物等を主要な材料としている為サイズは比較的大きく、大きさに比例して重量は重くなります(クッキング薪ストーブ等小さいものもあります)、その為重量が重いタイプのものを施工する場合は頑丈な基礎等を築いてそこに施工する必要があります、又一度施工すると家の構造体と一部一緒になる等の為、本体等主要構造物は容易に動かしたりする事は出来ません。

以上が主なデメリットといえる部分になるでしょう、それぞれのライフスタイルを考えると見方によっては一概に何がメリットで何がデメリットなのかの区別は難しいですが、一般的に普及している鋳物の薪ストーブと北欧式蓄熱暖炉の違いと言えば以上のような事になると思います、又北欧式蓄熱暖炉と鋳物やスチール製の薪ストーブ或いはビルトイン暖炉との一般的な違いはこちらの「よくある質問Q&A」もご覧下さい。

北欧式蓄熱暖炉は北欧やヨーロッパ等では極一般的に普通の家庭で使われている暖房設備の一つで、ヨーロッパに行った時に注意して見ていると気がつきますが略間違いなく一般的な戸建住宅には煙突があり、それらは当然暖炉等に繋がっていて今でも多くの家で現役の暖房として使われています。あくまで主観になりますが、日本の家屋においても近年の構造物の高断熱化、高気密化等は蓄熱式暖炉を使う条件としてはより良くなってきていると思います。




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